開業準備とFAX

開業するクリニックにFAXは必要か。
誰から何が届くかで考える。

「今どきFAXは要るのか」。開業準備中の先生からよく聞く疑問です。この記事では、開業したクリニックに誰から何のFAXが届くのかを実務の順に整理し、FAX番号や回線の段取り、紙のFAX機とインターネットFAXの選び方までを解説します。

この記事の結論

FAXは要る。ただし、
紙のFAX機が要るとは限らない。

結論から書きます。クリニックの連携相手である病院、検査会社、調剤薬局、医師会、保健所は、今も文書のやり取りにFAXを使うことが多く、FAXを受け取る手段は開業時から必要になるのが一般的です。自院だけがFAXをやめても、相手の運用は変わりません。

一方で、紙のFAX機や専用回線を置くかどうかは選べます。FAXという通信手段は残しつつ、紙への印刷や紙での保管をやめて画面で扱う。これが、これから開業するクリニックにとって現実的な答えです。以下で、その根拠になる実務を具体的に見ていきます。

受信の実務

開業したクリニックには、
誰から何のFAXが届くのか。

「クリニック FAX 必要」と検索して出てくる一般論より一段細かく、文書の単位で見ると、FAXが要る理由がはっきりします。

  • 病院からの診療情報提供書(紹介状)・返書。紹介と逆紹介のやり取りで届きます。
  • 検査会社からの連絡。外部委託した検査に関する確認や連絡に使われることがあります。
  • 調剤薬局からの疑義照会・服薬情報提供書。処方に関する確認が届きます。
  • 医師会・保健所・行政からのお知らせ。開業後の各種連絡が届きます。
  • 訪問看護ステーションやケアマネジャーからの書類。在宅医療に関わると増えます。

病院からの診療情報提供書と返書。患者さんを病院へ紹介すると、検査や治療の経過を伝える返書が届きます。病院から患者さんを逆紹介されるときは、診療情報提供書が届きます。地域医療連携室とのあいだでは、紹介時の予約票や受診日の連絡がFAXで届く運用が多く残っています。地域の病院と行き来するクリニックほど、この往復は日常業務になります。

検査会社からの連絡。血液検査などを外部の検査会社に委託すると、依頼内容の確認や急ぎの連絡がFAXで届く運用が残っていることがあります。結果の報告方法は検査会社との契約によって異なりますが、FAXが連絡経路のひとつになっている場合は、受け取れる状態にしておく必要があります。

調剤薬局からの疑義照会。処方箋の内容に確認事項があると、薬局から疑義照会が届きます。電話と併せて文書(FAX)でやり取りされることが多く、医師が診療の合間に内容を確認して回答する必要があります。返答が遅れれば、薬局の窓口で患者さんが待つことになります。届いたことにすぐ気づける受信の仕組みが要る、代表的な文書です。このほか、服薬情報提供書(トレーシングレポート)がFAXで届くことも多くあります。

医師会・保健所・行政からのお知らせ。医師会に入会すると、講習会、休日当番、予防接種や健診事業などの連絡が届きます。保健所や行政からは、感染症に関する通知や調査の依頼が届くことがあります。FAXでの一斉連絡が今も使われている分野で、見落とすと対応が遅れます。

在宅医療に関わる書類。在宅医療を行う場合は、訪問看護ステーションからの報告書や、ケアマネジャーからの照会、サービス提供票のやり取りが加わります。在宅に関わるほど、FAXの往復は増えるのが実情です。

送信の実務

クリニックから送るFAXも、
開業直後からある。

受け取るだけではありません。病院へ患者さんを紹介するときの診療情報提供書と予約の依頼、疑義照会への回答、在宅医療での訪問看護指示書など、クリニックから送る文書も開業直後から発生します。

紙のFAX機で送る場合、1件ごとに、印刷、送付状の用意、宛先の確認、送信、控えの保管という手作業が続きます。そして送信で最も注意すべきは誤送信です。患者さんの氏名や病状が書かれた文書を番号の押し間違いで無関係の宛先に送れば、個人情報の漏えいに直結します。開業時点から、宛先をどう確認するかという運用を決めておく必要があります。

不要論の検討

「FAXは不要」と決める前に、
確認したいこと。

メールや電話で代替できるのではないか、という考え方はあります。ただしFAXは相手のある通信手段です。連携先がFAXを前提に運用している限り、自院だけが受け取りをやめても、文書が届かなくなるだけで、連携そのものは止まりません。止まるのは自院の情報です。

本当にFAXなしで開業したいなら、地域の病院の連携室、利用予定の検査会社、近隣の調剤薬局のそれぞれに「FAX以外の受け渡し方法があるか」を確認してからにするべきです。確認の結果として、開業時点でFAXを完全になくせるクリニックは限られる、というのが実務の感覚です。

だからこそ、判断の置きどころを変えることをおすすめします。問うべきは「FAXをなくせるか」ではなく、「FAXにかかる手間、つまり印刷、仕分け、回覧、保管、誤送信対策を、どこまで減らせるか」です。

開業準備の段取り

FAX番号と回線は、
印刷物の発注前に決める。

開業準備では、内覧会の案内、近隣の医療機関や調剤薬局への挨拶、医師会への入会手続きなど、FAX番号を記載する場面が早い時期にやってきます。診察券、封筒、パンフレットといった印刷物にも載せることが多いため、番号が確定しないと発注が進みません。あとから番号が変わると刷り直しになるので、番号の確定は印刷物より先、と覚えておくと段取りを間違えません。

FAXの受け取り方は、大きく分けて、電話回線にFAX機(複合機)をつなぐ方法と、インターネットFAX(クラウドFAX)を使う方法があります。どちらの場合も、番号の取得方法や、既にある番号を引き継げるかどうかは、回線の種類や契約、利用するサービスによって異なります。ここは一般論で断定できない部分なので、印刷物を発注する前に、契約先の事業者やサービス提供元に確認しておくことをおすすめします。

受け取り方の選択肢

紙のFAX機で受けるか、
画面で受けるか。

紙のFAX機(複合機)で受ける場合。設置場所と回線の準備が必要で、用紙やトナーの費用がかかり続けます。受信した文書は受付の複合機から紙で出てくるため、患者さんの情報が書かれた紙が、人の目に触れうる場所に置かれがちです。診察室や自宅からは確認できず、届いたかどうかは複合機の前まで行かないと分かりません。

インターネットFAXで受ける場合。インターネットにつながったパソコンやタブレットで送受信でき、届いた文書は印刷せず画面で確認できます。受付でも診察室でも同じ受信箱を確認でき、あとから検索もできます。疑義照会のように「すぐ気づいて、すぐ返す」文書との相性がよい方式です。

ただし、クリニックのFAXには患者さんの医療情報が含まれます。閲覧できる人を限定できるか、誰がいつ見たかを記録できるか、送信時に宛先を確認する仕組みがあるか。汎用のインターネットFAXは、こうした安全管理への対応が製品によって異なるため、検討中の製品の条件は各社で確認してください。医療・介護の情報を扱う前提で設計されたサービスもあり、たとえばクリニック・診療所向けインターネットFAX「COMCUN」はこの考え方で作られています。

まとめ

なくすのではなく、
紙をやめて画面で扱う。

開業するクリニックにFAXは必要か。答えは、「受け取る手段としては必要。ただし、紙で運用するかどうかは選べる」です。病院からの紹介状と返書、検査会社からの連絡、薬局からの疑義照会、医師会や保健所からのお知らせ。これらは開業初日から動き出す連携の土台であり、FAXはその通り道として当面残ります。

開業準備としてやることは3つです。第一に、FAX番号と回線の方針を印刷物の発注より先に決める。第二に、紙のFAX機で受けるか、画面で受けるかを決める。第三に、医療情報を扱う前提で、閲覧の制限、閲覧の記録、宛先確認の仕組みを確認する。この3つを押さえれば、FAXは開業の足かせではなく、地域とつながるための道具になります。

COMCUNのご紹介

医療・介護のための
インターネットFAX、COMCUN。

COMCUNは、横山ラボ株式会社が開発した、クリニック・診療所のためのインターネットFAXです。医師が開発し、特許2件を出願済で、クリニックで導入済みです。

  • FAX機も専用回線もなしで送受信。インターネットにつながったパソコンやタブレットで使えます。
  • 届いたFAXは印刷せず画面で確認。紹介状や検査結果、疑義照会を受信箱で扱えます。
  • 医療・介護情報を安全に扱う設計。閲覧できる人を限定し、誰がいつ見たかを記録し、送信時の宛先確認で誤送信を減らします。
  • 料金はベーシックプラン月額980円。0床のクリニック・診療所が対象で、送信8円/ページ、受信は無料です。

クリニック・診療所のほか、病院、訪問看護ステーション、調剤薬局、介護事業所でもご利用いただけます。その他の費用やご利用条件は、お申し込みの際にご案内します。詳しくは診療所向けインターネットFAXの料金をご覧ください。

クリニック向けCOMCUNの詳細を見る デモを申し込む
よくある質問

開業とFAXの、
よくある質問。

開業するクリニックにFAXは本当に必要ですか。

病院からの診療情報提供書(紹介状)、検査会社からの連絡、調剤薬局からの疑義照会、医師会や保健所からのお知らせなど、クリニックの連携相手は今もFAXを使うことが多く、FAXを受け取る手段は開業時から必要になるのが一般的です。一方で、紙のFAX機を置くかどうかは選べます。インターネットFAXなら、FAX機や専用回線がなくても画面で送受信できます。

FAX機を置かずに開業できますか。

インターネットFAX(クラウドFAX)を使えば、FAX機や専用回線を設置しない開業も選択肢になります。相手は今までどおりFAX番号宛てに送るだけなので、連携先に特別な対応をお願いする必要はありません。ただし、FAX番号の取得方法や条件は、回線や契約、利用するサービスによって異なるため、開業準備の早い段階で確認しておくと安心です。

FAX番号はいつまでに決めればよいですか。

内覧会の案内、近隣の医療機関や調剤薬局への挨拶、医師会への入会手続きなど、開業前からFAX番号を記載する場面があります。診察券や封筒、パンフレットといった印刷物に載せることも多いため、印刷物を発注する前に番号を確定しておくと、刷り直しを避けられます。

インターネットFAXで患者さんの医療情報を扱っても大丈夫ですか。

クリニックに届くFAXには患者さんの氏名や病状などの医療情報が含まれるため、閲覧できる人を限定できるか、誰がいつ見たかを記録できるか、送信時に宛先を確認する仕組みがあるかを確認するのが目安になります。医療情報の安全管理への対応は製品によって異なるため、検討中の製品の条件は各社でご確認ください。COMCUNは、患者・利用者さんの医療・介護情報を安全に扱うことを前提に設計しています。